臓器の力学挙動をできる限り正確に計算 → 有限要素法
三次元では四面体,六面体などによる体積メッシュが必要.
要素:メッシュの小領域, 節点:要素頂点の集合
FEMでは節点の物理量をひとまとめにして大きいベクトルを用いる.
変位ベクトル u,外力ベクトル f
「変位ベクトル」に「剛性マトリクス」を作用させることで「外力ベクトル」が得られる.
Ke はヤング率,ポアソン比,要素頂点の初期位置によっ て作成する行列.
全体剛性マトリクスはサイズを拡張した要素剛性マトリクスの総和
剛性方程式
外力から変位を求めるには連立方程式を解く.
※実際には K は特異行列となるため幾何学的境界条件を付与する必要がある.
(大抵の入門書に説明が書かれているので割愛)
質量マトリクス M は,対角要素に等価質量を配置した集中質量行列を用いることが多い.
減衰マトリクス C は安定性向上を目的としたレイリー減衰が用いられることが多い.
参考:竹内,樫山,寺田,「計算力学」.森北出版.
インタラクティブCGなら陰解法.20 ms など長い時間刻みに対しても安定に計算可能
その場合,連立一次方程式に帰着する(導出は割愛).
ひずみ
応力
De: ひずみ-応力マトリクス(ヤング率,ポアソン比で決まる)
Be: 変位-ひずみマトリクス(要素節点の初期位置で決まる)
応力テンソル
\[ \mathbf{S} = \left( \begin{matrix} \sigma_x & \sigma_{xy} & \sigma_{xz} \\ \sigma_{xy} & \sigma_{y} & \sigma_{yz} \\ \sigma_{xz} & \sigma_{yz} & \sigma_{z} \end{matrix} \right) \]主応力は応力テンソルの固有値 σ1, σ2, σ3.
四面体の応力をスカラーで表したときは最大主応力などを用いることができる.
http://scc.ist.hokudai.ac.jp/~sase/workshop/cedec2015/app/fem/fem.html
(左) Linear FEM, (右) Corotational Linear FEM
微小変形理論における線形ひずみは回転が圧縮として評価される.
幾何学的非線形性:回転に起因する非線形性
非線形FEMの枠組みで解くべきだが,Corotational FEM と呼ばれる定式化によって線形FEMを拡張することである程度対応できる.
変形勾配テンソルの右極分解(SVDを用いる)により,剛体回転成分を抽出する.
G. Irving, et al., "Invertible finite elements for robust simulation of large deformation," SIGGRAPH 2004.
Gino van den Bergen(ed.), and Dirk Gregorius(ed.), Game Physics Pearls, CRC Press, 2010.
Aleka McAdams, et al., "Efficient elasticity for character skinning with contact and collisions," SIGGRAPH2011
金田(編),並列数値処理,コロナ社.
階層メッシュを用いて反復法の収束を加速させる方法.
ボクセルメッシュ,六面体要素に対して適用するアプローチが多い.
C. Dick, et al., "A real-time multigrid finite hexahedra method for elasticity simulation using CUDA," Simulation Modelling Practice and Theory, 19(2), 801–816. 2011.
Aleka McAdams, et al., "Efficient elasticity for character skinning with contact and collisions," SIGGRAPH2011
Georgii, J., and Westermann, R. (2008). Corotated Finite Elements Made Fast and Stable. Proceedings of the 5th Workshop on Virtual Reality Interaction and Physical Simulation, 11–19.
近年では商用ソフトへの導入も盛んに行われている.
今後はGPGPUによる高速化によりリアルタイムアプリケーションへのFEMの応用がさらに加速することが予想される.
[1] E.G. Parker and J.F. O'Brien, "Real-Time Deformation and Fracture in a Game Environment," SCA2009.
スライド配布 - http://sasekazu.github.io/slides_fem_cedec2015